欠番回 げんきゅー(インタビュー製作者)


【げんきゅー】
niconico twitter TINAMI seiga
1991年生。京都府在住。
2010年5月9日、東方手書き作者のツナマヨ氏のインタビューを東方見聞録上で公開。その後もお世辞には精力的とは言えないペースで様々な人達にお話を伺う。回らない舌と低いトーク力故に、収録後は毎回自己嫌悪に陥ってるともっぱらの噂。
好きな東方キャラはうつほ、ナズ、ぬえ、はたて、マミゾウ。
インタビュー以外にも、絵や文章をかいてみたり、地味に色々首を突っ込んでいる。
一部では触手好きとして変に有名。

──さて、東方見聞録特別編の欠番回。今回は、インタビュー企画東方見聞録を運営しているげんきゅーさんにお越し頂きました。よろしくお願いします!

げんきゅー:矛盾を全部ぶん投げて一気に始めたね!はいよろしくおねがいします。


──ま、他人行儀なのは最初だけにしておきますか。
げんきゅー:ですな、自分に対して敬語を話し続けるのも気持ち悪いし、はやいとこ降りておきませう。


──さて、予想通り順調に更新間隔が延びてきてるわけですが。
げんきゅー:うぐぐ……待って頂いてる方には毎回頭が上がりません。


──大百科の掲示板でも、「ぶっちゃけもう忘れてるんじゃね?」とまで言われてたしね。あちこちの人様の生で見かけたり、関係ないイラスト企画にご執心だったり、オフに出没しまくってたり。
げんきゅー:おまけにリアルのほうの予定もどんどこ重なってきたしね…次回はもうちょっと早く出来るよう頑張ります…まぁ無事に更新できてよかったです。根気よく付き合ってくれた皆さんには感謝してもしきれないですね。


──そういえば、先日葛の葉さんとお会いしたそうで。
げんきゅー:そうそう、とはいってももう昨年の夏の話だけど。用事があって熊本に行く機会がありまして。生葛の葉さんと会ってきました。


──どんな人だった?
げんきゅー:凄くいい人だったですよやはり。一緒に小泉八雲旧邸やメロブに行ったり、カラオケしたり、テンションが不安定な私に一日付き合ってくれて凄く楽しかった! スタイルのいいイケメンさんだったしね! 他にも紅楼夢の前後は、京都にきてたまさみティーさんと僭越ながら飲みに行ったりしてみたり。良い人でした。


──なんか会う人会う人イケメンな気がするよねこの界隈。
げんきゅー:ねー。ネットでの振る舞いが残念な人ほど、実際は性格が良くてイケメンとはよく言われるけれど。


──まあそのギャップが楽しみだからオフ会にも行きたくなるわけで。
げんきゅー:やっぱり直にお会いすると、当たり前だけどごく普通の生活をしている一般の人なんだなあってことがわかって安心したりもするね。ネット上だけで見ると、10万再生の動画を多数作っている人気作者で私なんか足下にも及ばない人も多いんだけど、実際に会って話すとやっぱり同世代の人が多いから話があって楽しいし。


──まあ、そもそもそういう人と公的に話せる機会を作りたい、という邪な目論みから生まれたのがこの企画なわけですけどもね。
げんきゅー:そうそう。思いついたのは受験中の冬のことで、考えたはいいけどこれが本当にウケるかわからなかったから、手書き作者の方の配信にお邪魔して、みなさんに意見を伺ったりもして。


──結構いい反応をいただけたから実際に始めてみたわけだけど、決して少なくない数の人から読んでいただけて、それなりに認知もされるようになって…
げんきゅー:まさか始める前はこんな風になるとは思わなかったね。読んで頂けているすべての方に感謝しっぱなしです。


──で、まあこの企画も始めて1年以上経つわけだけど、どんな感じ?
げんきゅー:いや、毎回行き当たりばったりでやってるなぁと認識してる。回ごとに微妙に仕様があってなかったりするしね。最初はpixivで告知イラストを描いていたりもしたんだけど、いつの間にかフェードアウトしちゃったし。


──フェードアウトと言えば、以前第4回までのインタビュイーの方を集めて対談放送をしようという企画もあったけど、あれはどうなったの?
げんきゅー:結局実現できなかったねー。参加者の方の予定があえばまた告知しようと思っていたんだけど、今思うとあのときが最初で最後のチャンスだったですなぁ。


──残念だねえ。今でもたまにあのときのあれは?とか言われて申し訳なくなるよね。
げんきゅー:企画力不足と言われても仕方ない…今後はこのようなことがないように、綿密にやらないとね。


──今後もなんかするつもりあるの?
げんきゅー:妄想レベルなら3,4個くらいありますよ。思いつきばっかりなので口外はあんましないけど(笑)。


──慣れないことはするもんじゃない…とは言わないけど、やるからには責任持ってやらんとねえ。
げんきゅー:だね。考えるのは楽しいんだけどね。


◆  ◆


──今後、見聞録はどういう展開があるの? いつまで続けるつもりがあるの?
げんきゅー:永久に続ける!ってなことはもちろんないし、いつかは終わると思うけど、今のところは定期的に続けていきたいです。でも終わるときはきちっときめて終わりたい。この辺は、見聞録が抱えているちょっともにょもにょしたものにも関わるんだけども。
 

──ほう、伺いましょう。
げんきゅー:まず私の、ニコニコ動画の手書き動画や、イラストSNSでの絵描き活動、同人誌の制作を全部まとめての考え方になるんだけど…基本的にああいう制作物は、「一般の人が、時間を割いて趣味で作ったモノ」という認識があるんですね。


──はいはい。
げんきゅー:どういう事かというと、どんなに凄い作品を作ったり、美麗な絵を描いたりしていても、やっぱり作り手の方は大半は素人の枠に収まる人たち、ですよね。これは別に悪い意味じゃなくて、私も尊敬する動画制作者さんや絵描きさんは大勢いるし、大好きな作り手の人は挙げられないくらいいっぱいいる。だけど、その人達に対する『尊敬の念』は、プロの小説家やイラストレーターや漫画家の人に向けるモノとは、やっぱり何処か違うと思っているんです。


──まあそれが一般論かはわからないけどね。受け手の人の中には、商業作品を全然読んでいないって人もいるだろうし、作り手にも商業と並行してやってる人はいるし。
げんきゅー:主観な意見ってことで全然いいんだけどね。これがメジャーな見解かどうかは今は関係ないし。問題なのは、この私の考え方が、私が趣味でやってるはずの見聞録のスタンスとは微妙に相反しているところなんだよね。


──っというと?
げんきゅー:私個人としては、東方に限らずネット上で活動している作り手の方々は大抵が一般の方で、受け手の人と同じ線上に立ってると考えてる。だから受け手の人が作り手の人を必要以上に持ち上げるのは危険なんじゃないか、という考えがあるわけです。ま、危険と言うのは言い過ぎかもしれないけど、ちょっと違うんじゃないかな、とは思う。作家と客じゃなくて、あくまで作り手と受け手っていう関係。とりあえず私はこういう考え方なんですけど、東方見聞録ってまさにこの、作り手を持ち上げちゃう企画なんだよね。だって、手書き作者の方を招いて、クリエイターとして、作品作りに関するこもごもを伺ってるわけだから。
 

──あぁ確かに。良い意味でも悪い意味でも『持ち上げている』企画ではあるね。
げんきゅー:持論と見事に正反対な性質ってことにある日気づいちゃったんだよねぇ…。でもこの企画楽しいんですよ。作家志望の自分としては凄く参考になるし、私以外の方も面白く読めるモノになっていると思うし。でも、このまま流れにそって続けていくと、いつか自分の中で整合性がつかなくなっちゃう気がするから、そんな風になるまえに、きっちり終わろうと考えてる。まだ先になるとは思うけども。


──本来あんたのメインの活動って小説書きだしね。そっちに集中するためにも、そのうちぱしっと終わらせておくのはいいんじゃない。
げんきゅー:そうかもしれないねぇ。


──そういやそのことに関連して、もう一つなんか考えてることがあるんだっけ。
げんきゅー:そうそう。作り手の方の作品に対する、批評に関することなんだけどね。この辺って、みんなどんな風に折り合いつけてるのかなと気になることが多くなってきた。


──一部では話題にされるところではあるね。
げんきゅー:叩いて伸びるのを良しとするというか、批判もばんばんもらって作品に生かしていきたいっていうスタンスの作り手の人って少なくないじゃないですか。でも実際、そういう建設的な批判意見を出せて、それを多くの人が見れる場ってあるか?って言われると、あんまない気がするんですよね。


──ニコニコとか匿名掲示板とかは?
げんきゅー:やっぱり匿名性が仇になって、大半の批判は意見にもなっていない誹謗中傷に終始しちゃってると思う。特にニコニコは建設的な意見を出す場としてまったく向いていないと思うんだよねー…。短文に収めると単純な罵倒語になっちゃうし、長文にすると見栄えが悪くなるし、仮に言ったとしてもファンの方から「じゃあお前が作ってみろよ」って返されちゃうのは目に見えているし。


──そういうことじゃないんだけどね。純粋に作品として見ているからこそ、言いたくなるひとも多いと思うんだけど。
げんきゅー:動画評論家様(笑)っていう言葉があるけど、逆に言うと、なんで動画を評論することが悪とされるようになってるんだろうね…。まぁアンチユーザーに対抗する言葉として用いられるのが大半だとは思うんだけども、その言葉があるせいで、「純粋なファンは批判なんかしないで全部受け入れるべき!」という考えが少なからずどこかにあるような気がする。
それが悪いとは言わないし、それが全部とも言わないけど。


──でも今はツイッターとかで気軽に名前も出してコミュニケーションもできるじゃない。そういう場で出してみたら?
げんきゅー:ツイッターもちょっとやりにくいと思うなぁ。あの場所って、短い文章のやりとりで繋がっているところだから、ちょっとした一言でその人に対する印象がまるで変わっちゃうことざらにあるんだよね…。仮に、その人本人がちゃんと受け止めてくれたとしても、そのやりとりってお互いをフォローしている第3者からも見えちゃってるから、別の人が快く思わなくて…とかもあるかもしれない。ま、ダイレクトメッセージとかはあったりするけども。


──確かにねぇ。個人的にはそういうのを屈託なく言えるようになるといいなぁと思ったりもするんだけど…ちょっと難しいところではあるよね。
げんきゅー:SNSとしては、最近は読書メーターで、amazonにない読み物も登録できるようになって。同人作品の感想も書けるようになったから、ちょっと期待していたりもするんだけどね。現状、そういう同人・ネット上の作品を建設的に批評してかつ、多くの人が目にすることの出来る場所ってあんまりない気がする。


──でも、さっきの話だと、作り手を過剰に持ち上げすぎるのはいけないんじゃないか、というのがあんたの意見なんだよね? 作品を批評するのって、作り手を持ち上げる行為にあたるんじゃないの?

げんきゅー:そう、そこが自分の中でもまたもにょもにょしてるところでさ! 作り手の人をプロの人と同一に見なしたり、自分が明確に客、と言う風に認識するのは、同人イベントでのトラブルのこともあるし、よろしくないことだと思うんだけど、と同時に、その人が作っている作品を、正当に批評・評価する流れもできたらいいのになぁとも思ってるんですよ。ファンから褒められっぱなし、方やアンチからは罵詈雑言の嵐じゃ、作品の向上を求める作り手の方とっては、なかなか糧にならないんじゃないかなぁ…という気がするし。なーんかこの辺自分の中でも矛盾してるなあと思うんだけどね…。


──要するに、同人の理念みたいなのが理想なわけでしょ? 受け手の意見を身近に受け止め、他の作り手と切磋琢磨して作品を向上させ、実際にイベントなんかにでるときは、会える機会の少ない受け手の人と楽しく交流する、という。全員参加者という同人イベントの形態にも通じる図式が。

げんきゅー:そう。そう考えると食い違わないし、良いことだと思うんだけど、でも作り手も受け手も数十年前とは比べモノにならないくらい増えている今だと、それを徹頭徹尾やり通すのも難しいのかなぁ…と思う。


──昨年もイベント関係色々あったみたいだしね。毎年多くの人に伝えても、人数が増えればそういうことは絶対起きてしまうのかな。
げんきゅー:まあその辺の問題も重要だけど、脱線する話題だしこの辺にしておこう。とにかく正当に同人・ネット上の作品を評価できる場が欲しいなというのを最近考えてるわけです。


──で、なんか考えたの?
げんきゅー:ひとつ考えたのは…最前線っていうサイトで行われているレビュアー騎士団っていう企画を参考にしたものなんですけども。


──はいはい。
げんきゅー:最前線ってのは、星海社が運営してる、無料で小説や漫画とかを公開してるサービスなんだけども、そこで公開されてるコンテンツへのレビューを広く募るってのが、レビュアー騎士団のコーナー趣旨。レビューとしての基準を3つ明確に設けていて、それに該当するレビューとして完成度の高いモノは、批判的な意見だろうとサイトに載っけて、それに対する現ライターさんのコメントも添えて、更には完成度に応じて評価もつけちゃう。そのコーナーで良いレビューを輩出し続けてポイントを溜めると、その額に応じて最前線からプレゼントがもらえる…というシステム。


──ほー自社の活動に対する意見を、報酬を明示して、ゲーム性も加えてむしろ募っちゃってるんだ。面白いね。
げんきゅー:このシステムを使えないかな、と思って。


──と、言うと?
げんきゅー:例えば、第1回とか第2回ごとに一人ずつ作り手の方を対象にして、HNを明記した上での意見を募集するわけ。集められた意見は私と、その作り手の方の二人で吟味して、これは良い意見だ!っと思ったものをサイトに載っける。んで、作り手の人が最もこれはありがたい意見だった、と思った方に何かしらかのプレゼントをあげる…という企画サイトを思いついたんだけど…どうだろう。


──なかなか面白いんじゃない。作品に対する率直な意見をむしろ祭り上げて堂々と見せる、という所は、そう言う場を作ったという意味で、見聞録の発想に似てるね。実際問題難しいところも多そうな気はするけど。
げんきゅー:例えば?


──まず、それに快く参加してくれる作り手の方がどのくらいいるのか、ということがまずある。それに、意見を吟味する、というけど、その基準を明確にしないでブラックボックスなまんまでやると、外から見る側としては疑問が沸きそうな気がする。そもそも、ど素人のお前が明確な基準を提示した上で正確な意見の選別ができるのか?ということもあるし、果たしてそんなサイトに投稿する人が果たしてどれだけいるのか、ってのもあるだろう。文章をそれなりに書いて送るのって、結構骨が折れるんだぞ。だから短文をウリにしたツイッターニコニコ動画が成功してるんじゃないか。
げんきゅー:そう、そう、そうなんだよねえ…本当に思いついただけの企画だから、実行するとなると、それなりに苦労しそうな感じではあるよね…本業に関わる時間もますますなくなりそうだし。


──ほんと、こういうのって思いつくだけならぽんぽん出るなぁ。
げんきゅー:まさにしかりだねえ…。


◆  ◆


──これからはどんな人に話を聞いていくの?
げんきゅー:やっぱり、東方手書き作者の人が多くなるんじゃないかと思う。音屋の人とか、動画系じゃない人にも聞いてみたいんだけど、インタビュアーである私が、その辺の知識に疎いというのもあって、ちゃんとしたインタビューができるか微妙なんだよね。次のまさみティーさんでも、なんとかかんとかやらせていただいてます。


──話作りに関することなら、一応自分でもやってることだし気づけること多いもんね。
げんきゅー:そうそう。もっと色んな界隈に踏み込むのも面白そうなんだけど、手書き動画だけでも数え切れないくらい凄い人がいっぱいいるし、この辺をずっと訪ねていくだけでも充分楽しいと思うしね。


──そういや、ピクシブの絵師さんにインタビューしている人は先にいるんだっけ。
げんきゅー:そうそう。どうも外国のかたみたいなんだけど、東方を中心に活動しているひとをはじめ、いろんな人に話を聞いてるみたいだね。一概に東方オンリーってわけではないけど、イラストのみのジャンルはそんな風な先駆者がいらっしゃるし、私は話作りのほうを追いかけていくのもいいんじゃないかと。


──まあこの企画、本当は東方以外の作り手の人にもインタビューするつもりだったんだけどね。
げんきゅー:まあね。当時の私は東方を知り始めで、ニコニコで見ている動画は歌ってみたとかゲーム実況なんかの割合も高かったから…。今でもお話を聞きたい人けっこういるんだけど、東方という枠をとっぱらうと、世界が広すぎて収集がつかなくなりそうで…今は自粛してますなあ。


──今でさえ聞きたい人いっぱいいるしねえ。
げんきゅー:いつか別の媒体で出来ればいいなあとは思ってるんだけどね。


──閑話休題、他にやりたいことってなんかあるの?
げんきゅー:動画とか作りたいよね。東方二次創作を視るようになって自分でもやりたい気持ちは強くて、幻想入りとかお話とかPVのネタとかは色々考えるんだけど、なかなか踏み切れないなあ。


──どれを最初にやればいいやら、ってとこで迷ってる節もあるよね。
げんきゅー:そうそう。筋肉少女帯の楽曲でPVとかは何度か制作しようと思ったりしたんだけど。ゴーゴー蟲娘でリグルの暗めの話とか、人間嫌いの歌で幻想郷の妖怪を描いたり、僕の歌を全て君にやるでミスティアの過去話とか。あとは特撮がすきだから、東方とウルトラマンを組み合わせた話とか……幻想郷の住人が千と千尋湯屋入りなんかはシナリオもだいぶ作ってるんだけどねー。


──インタビューとかやることもあるし、ってとこで逃げちゃってるところもあるよね。
げんきゅー:そうだねえ…。時間もあるんだからやろうと思えばできるんだろうけど…他に何もやってない状態で、今回みたいに遅れちゃったりもしてるし、なんか尻込みしちゃうわね。


──好きでやってることだから好きにすればいいんじゃね、って言いたいところだけど、実際あなたのアイディンティティってそこだしね。
げんきゅー:うーん。やる、と決めているうちはしっかりやっていきたいところだよねえ。やることやって、またいろんな事できればいいよね。


インタビュー術! (講談社現代新書)
──インタビューをやるにあたって、何か参考にしたものとかある?
げんきゅー:ずぶの素人だったから、『インタビュー術!』っていう新書を読んで、一通り心構えみたいなのを頭に入れた。ちょうど、実況プレイヤーの人が文芸活動をする「実況野郎B-TEAM」っていう企画で取り上げられたばかりで。自分には良いタイミングで知れたね。加藤さんには感謝してます!
あとは、太田さんが一人で編集してる文芸雑誌のファウストってのがあるんだけど。あのインタビュー記事を参考にしてるところはあるね。鬼のように脚注とかいれちゃうのも、あのインタビューの脚注の構成が好きだったからってところがあるし。


──ファウストは我が青春だったねー。はやくvol.9出ないかな。
げんきゅー:まあいつまでも待ちますけどね。


──じゃあ具体的に気を付けているところは?
げんきゅー:インタビュイーの方の話に対して、肯定や否定をしないこと。例えば、お話を聞いていると、自分を卑下するような話になることもあったりするんだけど、それに対して「そんなことないですよ」とか言わない。例え「どんなに自分がそんなことないっすよ、あなたの作るものは全部最高です!!!」って思ってても、言わない。何故かと言えば、みんなが読みたいのはインタビュイーの人となりや考え方であって、インタビュアーの意見じゃないから。仮にインタビュアーの喋った意見を受けて、万が一にもインタビュイーの方の考えや意見に影響が出てしまったら、その人の純粋な語りが抽出できなくなる。それを避けるためにも、自分の意見はなるたけ言わないようにしている。


──なるほど。まあそうは言っても時々変なとこに食いついて困らせたりしてるけどね!
げんきゅー:モンタナの話とかはつい熱くなっちゃったね…。しかもNiceTeaさんのインタビューじゃ、今までにないくらい作品に対して自分なりの感想とか喋っちゃったし。インタビューじゃないときならいいんだろうけど…まだまだ精進が足りません。


──インタビューで楽しいところって何?
げんきゅー:話すときも文章を起こすときも楽しいんだけど、一番は、最後のほうの作業。その人のプロフィールや脚注や、トップに持ってくる一言を選んでいるときが楽しいね。自分の手柄じゃまったくないのに、したり顔で彼らの功績を紹介する文を打っている瞬間が(笑)。嫌な人間だなあと作業しながら思います。


──逆に辛いところは?
げんきゅー:脚注! なにしろ回によっては30,40を超える項目があるし、一つ一つ調べて書いてるから編集作業に倍くらいの時間かかってる気がする。ずーっと3,4日くらい調べては打って編集し…を繰り返すこともあります。まあ好きでやってるんだけど。


──けっこう時間かかるよね。自分にしかできないっていう自負があるからできること?
げんきゅー:全然!(笑) だって私がやってることって、話を聴いてそれをいったん文章に起こして、あとから読みやすく構成し直してるだけだからね、誰でもできることだと思う。単純に思いついたのが早かったから、こんな風に今でもやれているだけで、そう意味ではあのタイミングで実行できてラッキーだったと思います。まあ昔から文章書くのは好きだったからそんなに苦じゃないけど。


──まあ快く話してくださる方がいての企画だからね。こっちがやってることなんて蛇足みたいなもんだし。
げんきゅー:ほんとほんと。でも苦労した結果できたものをたくさんの人が読んでくれるのは本当に嬉しい。ありがとうございます!


──ま、これからの展望については語ったし、最後になんかメッセージでも。
げんきゅー:そうだねえ…まあインタビュアー志望のことなんてめったにいないと思うからアドバイスしても仕方がないし、感謝の念を。しつこく繰り返してしまいますが、このサイトを読んでくれている皆さん、いつもありがとうございます。私がやっていることはそんな大したことじゃなくて、東方手書き動画の人気にあやかって活動しているような企画ですが、最初に予想していたよりはるかに多くの人がこのサイトにサクセスしてくれて、本当に嬉しいです。じんわり大きくなってきている気もしますが、ふつーの人が、超凄いふつーの人に話を聴く、というスタンスは開始当初から変わっていません。これからものんびりやっていこうと思います。


──いつだったか誰かが、「東方見聞録に載るのが手書き作者のステータスみたいになればいいですね」って言ってくれたことがあったけど、それは正直やだよね(笑)。もっと気楽な場所にしておきたい。
げんきゅー:万が一にもありえないけども!(笑) 私がオファーする理由って「好きだから」の一点しかないしね! あんまり大仰にとらえず、ゆるんわりと楽しんで頂ければ幸いで御座います。よろしければこれからも、ごひいきにしてくださると嬉しく思います。


──今回はただの独り言に付き合ってくださり、
げんきゅー:まことにありがとうございました。


──ではまた次回
げんきゅー:よろしければ


よろしくおねがいいたします。



(2012年4月1日脳内収録)
(文責:げんきゅー)